若返って寿命が延びるかも――。そんな期待が寄せられる物質「NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)」のサプリメント商品が、大手通販サイトで乱立している。
製薬や食品の大手メーカーが高額な新製品を続々と投入する一方、安い商品を売り出す通販業者が増え、価格を押し下げている。サプリの価格は30日分が1千円台から15万円超と幅広い。表面的には価格以外の違いが消費者にはわからず、なかには表示どおりの成分を検出できない例もある。
連載「NMN狂想曲」
消費者は何に注意すべきか。効果のほどとリスクは―。市場の実態と課題をシリーズで探ります。
「エイジングケア」の売り文句
通販大手のアマゾンと楽天市場に掲載される100超の商品サイトには、こんな売り文句が並ぶ。
「エイジングケア」「日本製」「純度99%以上」「高配合」
聞こえのよい言葉が並ぶものの、どの商品がどう違うのかは今や専門家でも見分けられなくなっているという。
NMNはビタミンB3から生成され、体内でNADという成分に変わり、老化などの制御にかかわる酵素を活性化させる働きがある。加齢とともに体内のNADが減ることが老化の一因と考えられるため、NADの材料となるNMNを補充することが老化の抑制につながると期待されている。
動物実験ではこれまで、加齢による肥満や糖尿病など、老化にともなう症状を抑えたり改善させたりする効果が確認されてきた。ただ、人への効果や影響は臨床試験が今も進行中で、はっきりしていない。
スーパーモデルが火付け役に
NMNサプリは2010年代…