イスラエルを全面支持する米バイデン政権 「危うい戦略」鈴木一人氏
パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスとイスラエルの軍事衝突は収束の兆しが見えていません。混迷を深める国際情勢をどう読み解けばよいのか。東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授(国際政治経済学)に、米バイデン政権や欧州連合(EU)の外交姿勢の評価や、日本のとるべき道を聞きました。
――イスラエルによるガザ地区への地上侵攻が迫るとされるなか、米ホワイトハウスは20日、イスラエルとウクライナ双方への支援を盛り込んだ約1060億ドル(約15兆8千億円)規模の予算を議会に求めると発表しました。今回の武力衝突に対するバイデン政権の対応をどう評価しますか。
バイデン氏は19日の国民向け演説で、米国がウクライナとハマスという、二正面で対応する能力を備えた大国だということを強調し、イスラエルを支持する共和党右派系からも評価されました。
一方、イスラエルの報復攻撃は非常に苛烈(かれつ)であり、人道的に疑問視されるものです。バイデン氏はハマスによる攻撃直後からイスラエルを全面的に支持してきましたが、報復によって民間人の多大な犠牲が生じることはわかっていたはずです。
イスラエルへの全面支持以外は一切妥協しないという点で、今回のバイデン政権の対応は極端過ぎると言わざるを得ないと考えています。
バイデン氏の狙い、民主党内からも異論
――バイデン氏の一貫したイスラエル支持の姿勢にはどのような狙いがあるのでしょうか。
大統領選を来年に控えるなか…
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- 【視点】
鈴木先生は「イスラエルへの全面支持以外は一切妥協しない」という風にバイデン大統領のスタンスを要約しているが、それは少し単純すぎるのではないでしょうか。バイデンは、イスラエルにガザ地区を占拠しないように警告している。地上侵攻を遅らせようとして
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イスラエル・パレスチナ問題
イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]