ガザへの地上侵攻、国際法が「都合良く解釈」される恐れ 識者の視点

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聞き手・藤原学思

 パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスへの報復として、イスラエルがガザ地区に地上侵攻するとの臆測が強まっています。こうした動きは、国際法としてはどのように解釈されるのでしょうか。イスラエル出身の国際法学者で、英国中東学会の副会長でもあるロンドン大クイーンメアリー校のニーブ・ゴードン教授に尋ねました。

【連載】イスラエル・パレスチナ 対立の深層

パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃は世界を驚かせました。この衝撃は、中東のみならず、世界秩序にどのような影響を与えるのか。識者と考えます。

 ――まず、10月7日に始まったハマスによる攻撃について聞きます。法的にどのように判断されますか。

 明らかな戦争犯罪です。ハマスはイスラエルに侵入し、民間人に対して凶悪犯罪を行いました。音楽フェスでは260人の殺害が確認されていますが、それ以外でも、数十の村や町に侵入し、民間人を襲いました。私も3人の友人を失いました。

ガザ地区への地上侵攻、国際法的には?

 ――では、そうした行為の報復として、イスラエルがガザ地区に地上侵攻するというのは、国際法的に許されるのでしょうか。

 国連憲章第51条では、国連加盟国が武力攻撃を受けた場合のみ、自衛権を行使することを認めています。イスラエルは「ガザに入ることは自衛権の行使だ」と主張するかもしれません。

 ただ、問題は、ガザは200…

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この記事を書いた人
藤原学思
ロンドン支局長
専門・関心分野
ウクライナ情勢、英国政治、偽情報、陰謀論
イスラエル・パレスチナ問題

イスラエル・パレスチナ問題

イスラム組織ハマスが2023年10月7日、イスラエルに大規模攻撃を行いました。イスラエルは報復としてハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に攻撃を始めました。最新のニュースや解説をお届けします。[もっと見る]