中学生が認知症をVRなどで体験 理解深める特別授業 熊本・氷川町

森北喜久馬
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 氷川町立竜北中学校で13日、認知症への理解を深める特別授業があった。

 氷川町社会福祉協議会が昨年から始めた。それまでは、町内の小中学生から募った希望者が、高齢者や障害者の福祉施設や保育所で体験学習をしてきた。しかし、新型コロナ感染防止のため当面休止に。代わりに白羽の矢を立てたのが、朝日新聞社が開発した「認知症フレンドリー講座」だった。

 当事者や専門医に取材した結果をもとに、日常生活で苦労する場面をVRで再現。あるはずのない物が見えてしまう「幻視」や若年性認知症について当事者が語る録画も見てもらう。認知症の兆候を知るため、さまざまな臭いをかぎ分けるテストに挑戦するなど、多角的に認知症の今に迫る。

 講座の利用は自治体や社会福祉協議会での研修が7割を占め、最近は中学・高校からの問い合わせも増えている。竜北中は昨年も今年も1年生が全員が参加し、全国で最年少になる。

 認知症の高齢者が外出時に急角度の階段をなかなか下りられない状況を、VR装置を使って追体験すると、生徒からは「(体が)揺れてる」「落ちそう」「こわい、こわい」と驚く声が上がった。

 栗原聡さんは小学校のとき自由研究で祖父の血圧を測り、手が震える祖母のために薬箱を工作したことがある。この日の特別授業について「近くに認知症の人はおらず、こんなに大変だとは知らなかった。ただ、助けすぎてもダメ。自尊心を大事にして同じ目線で接しなければならないというところが勉強になった」と話していた。(森北喜久馬)

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