「日本中学生新聞」を一人で始めた少年 岸田首相に聞きたかったこと
G7広島サミット(主要7カ国首脳会議)を前にした今年3月、小学6年生だった川中だいじさん(12)=大阪市=は外務省に電話をかけた。
サミットの取材申請には顔写真付きの証明書が必要だと同省のウェブサイトに書いてあったが、手元には健康保険証しかなかった。
「どうしたらいいでしょうか」
だが、「学生だから」「実績がないから」という理由で取材申請は出来ないと言われた。
岸田文雄首相に直接聞いてみたいことがあった。
修学旅行で訪れた広島平和記念資料館で、初めて被爆者の話を聞いた。被爆者の女性は原爆が投下された後、神社の片隅で座っていると、腹のただれた男性が「水をくれ」と言って目の前で死んでいった、と話した。教科書などで勉強した原爆の怖さが、伝わってきた。
質問の時間になると、真っ先に手を上げて聞いた。
「今の政治に言いたいことは何ですか」
間髪入れずに女性は答えた。
「核兵器禁止条約に参加してほしいです」
被爆者の声なのに、なぜ日本は署名も批准もしないのか。この質問をぶつけるには、岸田首相が選出された広島の地で開かれるサミットが絶好の機会だと思った。
「実績」がなくて取材申請できなかった。それならば――。川中さんは中学校入学直前の3月末、一人で「日本中学生新聞」と名付けた新聞を創刊した。
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小学校3年生の時、何げなくテレビを見ていると、参院選の開票速報が流れ、各党の党首がテレビで議論していた。
「自民党と共産党はけんかみ…
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