もう削れるものはない… 「身を切る改革」という言葉で切られた安心
聞き手・田中聡子
いつからか政治家など権力者が「身を切る」とアピールすることが目立つようになりました。削られてきたものの一つに、人件費があります。派遣や非正規雇用で働き続けてきた文筆家の栗田隆子さんに、「スリム化」や「合理化」の名のもとで起きていることを聞きました。
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「良いこと」と思わされてきた
ずいぶん長い間「身を切る改革」という言葉が使われていますが、誰が、何を切ってきたのでしょうか。それがあいまいなまま、「合理化」「スリム化」というかっこいい言葉に変換されて、良いことのように思わされてきた。その結果失ったものは、とても大きいと感じます。
私はこの20年、ほとんど派遣や非正規雇用で働いてきました。外務省や厚生労働省など、公的な職場も6カ所含まれています。どれも「誰でもできる」仕事ではなく、「この仕事を派遣に丸投げするのか?」と思うような仕事ばかりでした。慣れるまでの大変さや、短期間で人が変わる継続性のなさを勘案すれば、全く合理的ではない。
切られるのは「中央」にいない人
非正規の仕事を続けていると…
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