再開発に揺れる神宮外苑、「森」巡って日本イコモスが事業者に反論

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土舘聡一

 明治神宮外苑地区(東京都)の再開発事業者が「外苑に『森』はわずか」と主張したことに対し、日本イコモス国内委員会が4日、「非科学的」と批判を展開した。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関「イコモス」が求めている「再開発撤回」に反論した事業者側へ、同委員会が再反論した形だ。

 イコモスは9月、危機にある文化遺産を守る目的の「ヘリテージアラート」を出した。神宮外苑を「世界の都市公園の歴史の中でも傑出した例」と評価し、再開発について「過去100年にわたって形成され、育まれてきた都市の森を完全に破壊することにつながる」と指摘し、撤回を求めた。

 これに対し、事業の代表施行者の三井不動産が9月29日、反論の見解を出し、「神宮内苑の大きな森と異なり、外苑の計画エリアで一部の方々から『森』と称される場所は建国記念文庫の敷地のみ」と主張した。ヘリテージアラートの内容が「イコモス独自の認識で一方的に発信されている」とも述べた。

 4日に記者会見した日本イコモスの石川幹子理事は、「外苑の森は建国記念文庫のみで、その樹齢を確定できる記録はない」などとした同社の主張について、外苑全体は「人々が憩う森」として100年にわたって育まれてきたと反論。

 「事業者は本数で語っている。そうではなく、外苑の森は様々な群落で構成され、多様な生態系がある。事業者側はそうした樹木や森を科学的に分析していない」などと訴えた。また、事業者側が作成し、都の審議会が承認した環境影響評価書に誤りがあるという従来の主張も繰り返し強調した。

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 外苑の代表的景観で、事業に…

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