成城大にスポーツとジェンダーの研究拠点 「共に学び、社会変える」

藤谷和広
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 スポーツを通じたジェンダー平等を進めるための国際的な研究拠点「スポーツとジェンダー平等国際研究センター」が、成城大学東京都世田谷区)に設立された。待遇の男女差やトランスジェンダー選手の出場規制など、スポーツとジェンダーをめぐる課題の研究や発信に取り組む。

 成城大で10月26日に設立会見が開かれた。

 近年、スポーツ分野では、女性の活躍や多様な性のあり方を模索する動きが国際的に広がっている。センターは、スポーツを通じてジェンダー平等を実現するための研究拠点となることをめざし、設立された。

 シンポジウムの開催や研究者の育成のほか、東南アジア諸国の行政担当者や企業とも連携。スポーツ政策にジェンダーの視点を採り入れるためのワークショップの開催や、女性のスポーツ参加を阻む社会的要因に関する調査を行う。

 成城大を拠点に、他大学の研究者5人が特別客員研究員として参加する。

 センター長を務める山本敦久・成城大教授(スポーツ社会学)は設立会見で、「長らく男性のものだったスポーツが女性に開かれ、女性アスリートが社会の不平等を変えていく原動力になっている」と指摘。一方、スポーツを通じたジェンダー平等を推進する動きは日本では少ないとして、「なぜ日本では声をあげにくいのか、ということも研究していきたい」と語った。また、最重要課題として「トランスジェンダーのアスリートが抱えている問題の解決」を挙げた。

 世界経済フォーラムが世界の男女格差の状況をまとめた2023年版「ジェンダーギャップ報告書」で、日本は125位。特別客員研究員の田中東子・東大教授(メディア文化論)は、「自分たちの足もとを見つめ直す必要がある。一方的に調査・研究をするのではなく、共に学び、共に社会を変えていきたい」と話した。(藤谷和広)

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