セクハラ・性暴力の処分歴、6割の国立大が未確認 教員採用時に

山本知佳
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 国立大の6割近くが、教員採用時に過去のセクシュアルハラスメントや性暴力の処分歴を確認していなかったことが29日、文部科学省の調査で分かった。再発防止の観点から、昨年11月に対応を求めていた。文科省は同日付で通知を出し、各大学に、取り組みのさらなる推進を求めた。

 調査は6月、国立の全86大学を対象に実施。セクハラや性暴力に関し、具体的な処分規定の有無や公表基準などを聞いた。調査回答時点で、教員採用時に処分歴を確認していなかったのは、国立大の58・1%に当たる50大学だった。

 調査結果によると、厳正に対処する旨の学内規則は、全国立大が定めていた。悪質性や結果の重大性に応じて処分の基準を定めていたのは81・3%(70大学)、ハラスメントの被害者となりうる対象に、学生が含まれることを明記していたのは63・9%(55大学)だった。学内規則で「性暴力」と明記している国立大は8月末時点で2大学だった。担当者は「各大学でさらに取り組みを進めていただきたい」と話した。

 29日の通知では、6月の刑法改正などを受け、性暴力への厳正な対処や被害防止への「社会的要請が一層高まっている」と指摘。悪質性の高い事案については性暴力として厳しく対応することを求めた。(山本知佳)

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