全線運休の弘南鉄道、来月中に再開へ レールの摩耗6カ所で基準超え

古庄暢
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 弘南鉄道は27日、青森県平川市の本社で会見を開き、レールの異常を理由に全線で運休している弘南線と大鰐線について、早ければ10月上旬に一部区間で運転を再開し、10月中には全線再開をめざす方針を明らかにした。運休区間のバスによる代行輸送についても、10月上旬から始める方向で調整している。

 同社はこの日、レールの異常が見つかった経緯を説明。大鰐線で8月に脱線事故が起きたことを受け、9月初旬に外部の調査機関に、レールの摩耗状況の検査を依頼したところ、自社の測定器を使った測定値よりも、摩耗が進んでいるとの結果が出た。

 自社の機器を使った測定方法に不備があった可能性が浮上したため、新たな測定器を導入。9月25日に弘南線と大鰐線で再検査すると、レールの摩耗の程度が、交換の目安として同社が定める基準を超えた地点が、弘南線、大鰐線でそれぞれ3カ所ずつ見つかったという。

 基準を超える摩耗が見つかったのは、弘南線の弘前―弘前東高前間、館田―平賀間、境松―黒石間の計3カ所。大鰐線の石川―義塾高校前間の1カ所と弘高下―中央弘前間の2カ所の計3カ所で、いずれの地点もカーブだった。

 カーブはレールの摩耗が特に進みやすく、脱線事故が起きた現場もカーブだったことから、安全確保のため全線運休の判断をしたという。

 同社は28日から、緊急措置としてレールの補修作業を始める予定で、来年度以降、国の補助事業や弘前市など沿線5市町村から受けている財政支援を活用し、新たなレールへの交換を進める方針という。

 成田敏社長は「沿線の皆様には大変ご迷惑をおかけしている。レールの補修を進め、早期の運転再開に努めたい」と陳謝した。(古庄暢)

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