「自浄作用」のある社会へ 津田大介さん、ジャニーズ問題への提言
ジャニーズ事務所の創業者・故ジャニー喜多川氏が児童に対する性的虐待を長年繰り返していた事実を、9月7日、事務所が記者会見で認めた。だがジャーナリストの津田大介さんは、あの会見は「ジャニーズ事務所は変わりません」と宣言する内容に過ぎなかったと批判する。
何がどう変わらないのか、どうすれば変化が起きるのか。「自浄作用のない日本社会」こそが突きつけられた課題だと言う津田さんに、話を聞いた。
――英国の公共放送であるBBCが今年3月に報道したことをきっかけに、ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川氏が長年にわたって児童に性的虐待を加えていた問題への批判が高まっています。ここまでの事態の推移は日本社会の何を映していると思いますか。
「自浄作用が働かない社会であることが映し出されているのだと思います」
「被害者が勇気をふるって告発をしたり、週刊文春がキャンペーン報道(1999年~2000年)で問題を明るみに出したり、その文春記事の重要部分を真実だと認定する判決が最高裁で確定(04年)したり。振り返れば、被害を食い止めるチャンスは何度かあったのに、できないまま今に至ってしまっています」
「新聞などの報道機関はこの問題を大きく取り上げることができず、テレビを中心としたメディアもジャニーズのタレントを起用し続け、ファンや視聴者・消費者も無関心でした」
――ジャニーズ事務所は9月7日に記者会見を開き、性加害を事実と認めるとともに、藤島ジュリー景子社長の引責辞任を発表しています。自浄能力はうかがえなかったのですか。
「藤島社長が動画メッセージ(5月14日)を出した当初は、性虐待の事実認定すら行いませんでしたから、それに比べれば今回、特別チームの調査を受け入れて事実認定と謝罪、補償の意思を示したことは良かったと思います。しかしガバナンス面に目を向けると、会見で語られた内容は特別チームが求めた『解体的出直し』には程遠く、事務所内で自浄が進むとは期待できない内容でした。『ジャニーズ事務所は変わりませんので今後もよろしくお願いします』と訴える会見だったように見えましたね」
ジャニーズ事務所の構造、変わらない
「まず、世界的に見てもまれ…
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