物価高対策への「逆噴射」 日銀の異次元緩和継続、理屈の通る政策か

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編集委員・原真人

 政府も日本銀行も、物価高に苦しむ国民生活を改善したいと真剣に考えているのだろうか。残念ながらかなり疑わしい。

 日銀は22日、金融政策決定会合(年8回開催、メンバーは総裁以下9人)を開き、マイナス金利や、低い長期金利で「物価上昇」をめざしている現行の異次元緩和を続けることを全員一致で決めた。

 念のため繰り返し説明するのだが、日銀は物価高の下で「物価を抑える」ための政策をするのではない。「物価を上げる」ための政策を続けるというのである。

 折しも22日朝、総務省が発表した消費者物価指数が、歴史的な物価上昇がいまだに根強く続いていることをはっきり示している。それによると、8月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)は7月に続いて前年同月比3・1%という高い上昇率となった。

 あいかわらず値上がり品目は広範にわたっている。食料品では調理食品、菓子類、アイスクリーム、飲料などが軒並み10%前後の上昇だ。さらにトイレットペーパーは15%、携帯電話通信料は10%、宿泊料は18%、ペットフードに至っては31%もの上昇率である。

 消費者物価指数はこれで12カ月連続で3%超えが続き、日銀がインフレ目標の到達点としている「2%」超えは17カ月連続となっている。

「理想」のため、国民生活を犠牲にするのか

 この状況をもってして、さら…

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この記事を書いた人
原真人
編集委員|経済担当
専門・関心分野
金融、財政、エネルギー、経済地政学