66キロの「最短」新幹線が開業1年 つながるめど、いまだ立たず
福岡、佐賀、長崎の3県を結ぶ構想で始まった西九州新幹線は、9月23日で開業から1年を迎える。しかし、佐賀県内の整備手法が決まらず、現状では全長66キロの「最短」新幹線に甘んじている。
なぜなのか。未整備区間の計画の前提だった新車両「フリーゲージトレイン(FGT)」の開発を、国が2018年に断念したためだ。
FGTは、走りながら車輪幅を動かすことで線路幅の異なる新幹線と在来線のどちらも走ることができる車両だ。
フル規格の新幹線は、福岡に近い佐賀県にとっては巨額の費用負担に見合うほどの時間短縮効果はない。そこで国土交通省は、在来線を使うFGTを提案し合意を取り付けて計画を進めてきた経緯があった。
FGT断念後、佐賀県と国交省は特定の整備手法を前提としない「幅広い協議」の場を設け、20年6月から話し合ってきた。
しかし、両者の主張はすれ違ったままで、3年間で計7回ひらかれた議論に前進はない。
事業者のJR九州の主張は国交省側に寄る。古宮洋二社長は、「FGTは無理ということが決まり、その次をどうするかというステップだ」と話す。現状の乗り換え方式では西九州新幹線の利用者が伸びず、「収支が厳しい」とも語る。
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