陽性者は恥じよ恥じよと迫りくる…コロナ下の歪み、短歌はどう刻んだ
9月10日付朝日歌壇・朝日俳壇面のコラム「うたをよむ」をお届けします。筆者は歌人の睦月都さん。この3年余に詠まれた時代の危ういゆがみを刻む歌を3首引用し、コロナ下での記憶を呼び覚まします。
「うたをよむ」 睦月 都
失われた“日常”へ、日本全体がいま否応(いやおう)なしに揺り戻されようとしている。この奇妙な数年間もいつか人々の記憶から薄れ、やがて歴史の一項目へと回収されるだろう。その時、私たちが確かに生きた時代の空気は、歌としてどう残りどう読み継がれゆくだろうか。昨今の歌集にも、時代の痕跡を残すものが増えた。
ハッピー・バースデー歌ひつつ手は手を洗ひ奇怪なるかな手は手を洗ふ
川野里子『ウォーターリリー』
バースデーソングを歌いなが…
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