国内最多、100面以上の銅鏡を副葬か 奈良・桜井茶臼山古墳

清水謙司 今井邦彦
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 奈良県桜井市の大型前方後円墳、桜井茶臼山古墳(3世紀末ごろ、国史跡、墳丘長204メートル)に、国内最多の100面を超える銅鏡が副葬されていたことがわかった。奈良県立橿原考古学研究所(橿考研)が7日発表した。「卑弥呼の鏡」とも呼ばれる三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)など多彩な種類の鏡が確認され、専門家は「段違いの数と内容で、被葬者に突出した力があったことを示す」と評価する。

 大和政権初期の王墓との見方がある同古墳からは、過去の調査などで銅鏡の破片385点が見つかっている。

 橿考研は2010年、それまで全国最多だった平原(ひらばる)遺跡1号墓(福岡県糸島市)の40面を上回る、81面の銅鏡があったとの分析結果を発表した。ただ、当時は種類不明の破片もあったため、橿考研の研究者らのチームが今回改めて調査。三次元計測をしたり、国内外の銅鏡と比べたりした結果、全国最多をさらに更新する103面以上の銅鏡があったとみられるという。

 鏡は14種類あり、内訳は卑弥呼が中国・魏(ぎ)の皇帝から贈られたともいわれる三角縁神獣鏡が26面、中国製(中国鏡)が10種類56面、国産(倭〈わ〉製鏡)が3種類21面。三角縁神獣鏡は今後の分析でさらに増える可能性があるほか、中国鏡を中心に文様が精巧で、大型のものも目立つという。

 銅鏡に詳しい大阪大の福永伸哉教授は「銅鏡の数はまさに異次元で、種類が豊富なことも注目される。王権中枢に我々の想像を超えた力があったことを示しており、大和政権の政治構造についての理解が変わるのでは」と話す。

 今回の研究成果は、10月8日に有楽町朝日ホール(東京)、11月3日に奈良県社会福祉総合センターである桜井茶臼山古墳をテーマにした公開講演会(無料)で発表される。ともに午後1時開始(開場正午)。東京開催分は事前申込制(往復はがきで9月15日必着、応募多数の場合は抽選)。問い合わせは橿考研(0744・24・1101)へ。(清水謙司、今井邦彦

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