引きこもりの俺がルーマニア語の小説家に 海外に行かずに出来ること
「千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話」。そんな目をひくタイトルのエッセーを今年、出版した済東鉄腸(さいとうてっちょう)さん(31)。タイトルそのまま、日本で独学で勉強し、小説が書けるほどのルーマニア語を習得しました。「海外に行くだけが道じゃない」という済東さんはどうやって勉強したのでしょう。そもそもなぜルーマニア語の小説家になったのでしょうか?
――「引きこもり」と自認されていますが、何かきっかけがあったのですか。
第1志望の大学に行けなかった受験の失敗、受かった大学に2011年に入学したもののノイローゼになり、サークルでは失恋。この「ホップ、ステップ、ジャンプで鬱(うつ)突入」という感じです。大学は何とか4年通ったけれど、そこでもう燃え尽き、引きこもり生活の幕が開きました。就活もうまくいかず、卒業後は週1のバイトのみ。20年以降に新型コロナの感染が蔓延(まんえん)してからはバイトもなし。さらに21年からはクローン病という腸の病気で安静が求められて今に至ります。海外に行ったことも、そもそも実家のある千葉と東京以外に出たことはほとんどありません。
――さんざんな大学生活という感じだったのですね。
友達もいなかったので、大学の思い出と言えば視聴覚室にこもってひたすら映画を見たことぐらいです。文学部で日本文学を専攻していましたが、「勉強をさせられる」のがいやで。日本文学、ひいては日本文化が嫌いになっていました。だから見るのは海外の作品ばかり。「何もしていない」という焦りと戦うために、映画批評を書いてツイッターなどにあげていました。
ルーマニア文化はハイブリッド?
――ルーマニアとの出会いを教えてください。
引きこもりの中、唯一続けて…
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