鉄道のまち福知山の新しい顔 フクレル、あす開館

滝川直広
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 「鉄道のまち」をかかげる京都府福知山市の新しい顔「福知山鉄道館フクレル」が26日、福知山城公園内に開館する。市民に親しまれた前身の「福知山鉄道館ポッポランド1号館」が閉館してから5年半。市は総事業費約5億8千万円をかけ、見学と体験ができる施設を誕生させた。年間約6万人の入館を見込んでいる。

 福知山は1899(明治32)年、阪鶴鉄道(JR福知山線の前身)によって大阪と結ばれて以来、120年を超える歳月を鉄道とともに歩んできた。大阪や京都、舞鶴、そして兵庫・豊岡との結節点となり、旧国鉄時代の1950年には鉄道管理局が置かれた。

 そうした歴史を伝える場としてポッポランド1号館は98年、中心市街地の活性化を図ることも目的に開館した。しかし、建物の耐震性に問題があることが発覚。移転先が確保できず、2018年3月末にやむなく閉館した。

 閉館直前、市議会では1号館の早期再開設を求める請願が採択され、市は関係者や市民からなる「ポッポランドのあり方検討委員会」を設置した。検討委は18年12月に提言を出した。そこには、市内6カ所にポッポランド0~5号館を設け、周遊性を持たせることなどが盛り込まれていた。

 しかし、19年7月、新しい鉄道館の建設資金として個人から市に2億円の寄付申し出があり、条件として今回のフクレル周辺の場所を建設場所にすることを求められた。市は寄付受領を市議会に提案して認められたため、翌年に福知山城公園内での建設を決めた。

 市が計画を推進する一方、ポッポランドのあり方検討委員会の提言が無視されたことや多額の税金が投入されることを疑問視する市民もいて、昨年に計画見直しを求める請願が市議会に出された。委員会で採択されたものの、本会議で不採択となった。

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 フクレルは「歴史展示エリア」と「交流体験エリア」に分かれている。

 歴史展示エリアでは改めて鉄道のまちの歩みを紹介。閉館した1号館に展示されていたものも含め、日本の鉄道初期のレールといった貴重な資料や、現在と過去の福知山駅が共存するジオラマを展示している。

 交流体験エリアには体験型設備として、運転シミュレーターや「なりきり!機関助士」を導入した。「なりきり!」は、石炭に見立てた黒いブロックをくべた量によって、福知山から京都へ向けて「走行」できた距離が表示される。

 24日は報道陣などを対象にした内覧会があった。旧国鉄OBらでつくる「福知山SL保存会」の松山美昭会長(76)が「1号館では土日に語り部として会員がみなさんをお待ちしていたが、フクレルでも継承したい」などとあいさつした。

 近くの市立福知山幼稚園の園児たちが招かれ、見学した。原田莉奈ちゃん(6)は「(機関助士体験が)面白かった。(ジオラマは)すごかった。友だちとまた来たい」。

 館長を務める市産業観光課商業担当課長の森田成章さん(53)は「この場所に建設が決まってから、いろんな苦労があり、多くの市民にご協力いただいた。貴重な資料を展示するだけでなく、気軽に親子連れが訪れ、学びと楽しみを両立できる施設として運営したい」と抱負を話した。

 開館時間は午前9時から午後5時まで。26日は午後1時開館。大人500円、小中学生250円、未就学児無料。火曜と年末休館。問い合わせは同館(0773・48・9226)へ。(滝川直広)

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