「丸刈りを強要」 トランス女性の受刑者が人権救済を申し立て 神戸

黒田早織
[PR]

 兵庫県弁護士会は3日、神戸刑務所に収容されているトランスジェンダーの受刑者の人権が侵害されているとして、法務大臣や同刑務所に対し改善を勧告・要望した。この受刑者からの人権救済の申し立てを受けたもので、同日記者会見を開き明らかにした。

 同会によると、申し立てた受刑者は50代で、戸籍上は男性。性自認は女性で外形変更の手術もしているが、戸籍に従い男性刑務所に収容されている。

 所内の男性受刑者は月一度丸刈りにさせられるといい、この受刑者もそのルールに従っている。同会は「女性受刑者はパーマもかけられるのに、トランス女性が丸刈りを強要されるのは配慮を欠く」と指摘。「性自認に沿って生きる権利を不当に制約し憲法違反」だと勧告した。

 神戸刑務所では過去に、トランスジェンダーの受刑者が刑務官からの性被害にあった。再発防止のため、トランスジェンダーの居室には南京錠をかけ、特定の職員のみが開錠しているという。同会は「南京錠は再発防止のためで、限られた予算の中ではやむを得ない」としつつ、責任者を含め2人以上で開錠する現在の運用は「災害時の安全確保のため検討の余地がある」と改善を要望した。

 同会は2018年にもトランスジェンダーの髪形への配慮を求めて人権救済を申し立てた。同会によると、過去10年でトランスジェンダーの受刑者に関する人権救済申し立ては全国で7件あり、うち4件は兵庫県の事案だという。(黒田早織)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

Think Gender

Think Gender

男女格差が主要先進国で最下位の日本。この社会で生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。性別に関係なく平等に機会があり、だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダー〈社会的・文化的に作られた性差〉について、一緒に考えませんか。[もっと見る]