若い世代の支援強化へ 知事就任3年目 財政は依然厳しく

鈴木春香
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 斎藤元彦知事の任期が折り返しを迎えた。就任3年目に入った1日、知事は記者会見を開いてこれまでの実績をPR。人口減少対策として、若い世代への支援を特に強化する方針も発表した。厳しい財政状況は依然続いており、実効性のある施策を打てるかが問われそうだ。

 知事はこれまでの任期2年間の成果として、県立学校の環境整備、万博にあわせて県内への集客を促す「ひょうごフィールドパビリオン」の取り組みなどを挙げた。

 県政の柱に据えた行財政改革では、県庁の再整備や、数十億円程度の大型公共事業の見直しなどを行ったと説明。知事選で掲げた公約の9割以上を着手もしくは達成したとし、取り組めていないのは「女性副知事」と「小学校の30人学級」のみだとした。

 「これからは『攻め』にかじを切っていく。特に少子化・人口減少対策は待ったなしだ」と知事。「若者・Z世代応援パッケージ」と銘打ち、高等教育の負担軽減、不妊治療の支援、新婚・子育て世帯向けの住居の提供などを、今後3年程度で集中的に拡充するとした。

 知事は財政面で一部目標を達成したことや、コロナ対応が落ち着いたことなど、政策を進めるための環境が整ってきたとする。

 県の貯金にあたる財政調整基金は今年度末、約30年ぶりに100億円を超え、127億円となる見込みという。阪神・淡路大震災以降、300万円~数十億円と少ない状態が続いていたが、好調な県税収入に加えて行財政改革の効果などにより、この金額を確保したと知事は説明。「緊急時に機動的に予算を組めるため、3ケタ(100億円以上)は確保したいと考えてきた。県政改革の一歩を踏み出せた」と胸を張った。

 ただ127億円という金額は、県の財政規模からすると決して高い水準とはいえない。県には震災関連の県債残高が約2千億円あり返済にはなお10年ほどかかるほか、県の外郭団体「ひょうご農林機構」が進める分収造林事業の負債など課題が残る。2028年度までの収支不足(赤字)の総額は255億円と見込まれている。

 知事は「財政状況は依然厳しい。今後も行財政改革の手綱は緩めず、メリハリを利かせて予算を投じていく」とも説明した。

 2期目へ挑戦するかについては明確にせず、「残り2年をまずは全力で頑張る」と話した。

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