第1回異次元緩和「ギャンブル性強い」「実験的な面」 封印されてきた懸念

有料記事異次元緩和 11年目の真実

山本恭介 土居新平
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 2013年4月4日午前10時23分、東京・日本橋の日本銀行本店。10分間のコーヒー休憩が終わって金融政策決定会合が再開し、黒田東彦(はるひこ)総裁(当時、以下同)が口を開いた。

 「私自身は、量・質ともにこれまでと次元の違う金融緩和を行う必要があると考えている」

 「分かりやすく情報発信することで、市場や経済主体の期待を転換させる必要がある。その際できることは全部やる、すなわち戦力の逐次投入はしない」

 第2次安倍政権が掲げたアベノミクスの柱である、大規模な金融緩和をどう実行するか。

 日銀が新たに公表した会合の議事録によると、政権に起用されたばかりの黒田氏がこう切り出すと、賛同者が相次いだ。

 金融機関出身の石田浩二審議…

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2023年8月1日10時55分 投稿
    【視点】

    「リフレ派」の岩田規久男氏の著作を読んで、金融政策以外の社会的要因に対する無関心さに驚いたことがある。 岩田氏の著作『日本銀行 デフレの番人』(日本経済新聞出版、2012年6月刊)では、金融政策がデフレの要因であり、賃金が上がらないの

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    江渕崇
    (朝日新聞経済部次長=日米欧の経済全般)
    2023年7月31日11時20分 投稿
    【解説】

    当企画の担当デスクです。日本の金融政策史上でもかなり大きな転換期である2013年1~6月の金融政策決定会合の全議事録が31日朝、公開されました。経済部金融チームでは、当時政策決定の場にあった当事者の証言も交えながら、今に至る異次元緩和の「原

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連載異次元緩和 11年目の真実(全11回)

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