100年走り続ける異端児 銚子電鉄が問いかける鉄路の存在意義

有料記事線路は続くか

大久保泰 近藤咲子 相江智也
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 千葉県の最東端6・4キロを走る銚子電鉄が7月、開業100年を迎えた。「エンタメ鉄道」を標榜(ひょうぼう)し、多彩な企画で観光客を呼び込み、「ぬれ煎餅(せんべい)」の販売も好調。2年続けて純損益での黒字を達成した。全国でローカル線の廃止の議論が進むなか、鉄路の存在意義とは何かを問いかけている。(大久保泰、近藤咲子、相江智也)

 「株主総会」と書かれたヘッドマークをつけた2両編成の列車が6月末、銚子市の銚電犬吠駅から発車した。走行中の列車内で株主総会を開くという、創業以来初の試みだった。

 「『おかしばかり売っている、おかしな会社』と言われるが、鉄道を存続させるために鉄道以外に注力した結果、1千万円超の黒字になった」

 竹本勝紀社長がダジャレを交えて、2022年度の決算を報告した。売上高は過去最高を更新し、純利益は前年の約56倍。ただ、売上高の8割は「ぬれ煎餅(せんべい)」や「まずい棒」など食品販売。鉄道事業は1億円を超える営業赤字で、副業と行政からの4千万円余りの補助金などで補った。

「エンタメ鉄道」では経営面で不安定さも

 100年は苦難の歴史だった。

 1913年に「銚子遊覧鉄道」が開業するが、赤字が続いて営業を廃止。23年に「銚子鉄道」として再出発した。2000年代には安全管理に関して国から事業改善命令を受けるなどしたため、資金不足から倒産危機に直面した。

 危機を救ったのは、1990…

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