大船軒レトロ社屋、92年で幕 名物駅弁「鰺の押寿し」埼玉で再出発
芳垣文子
サンドイッチを駅弁として初めて売り出し、鎌倉のソウルフードともいわれる「鰺(あじ)の押寿し」でも知られる「大船軒」の社屋兼工場(神奈川県鎌倉市)が5月末、90年余の歴史にピリオドを打った。同社がJR東日本のグループ会社に経営統合し、埼玉県に生産拠点を移したためだ。
大船軒は1898(明治31)年、富岡周蔵(1862~1939)が創業した。大船駅が開業して10年後のことだ。
周蔵の妻が薩摩藩士の娘だった縁で、薩摩出身で2代目首相の黒田清隆と親交が深く、黒田が外国で食べたサンドイッチを駅弁にすることを勧めたことから、「サンドウイッチ」の販売を始めた。これが日本初の駅弁のサンドイッチとされている。
サンドイッチのハムの製造も始め、1900(明治33)年には「鎌倉ハム富岡商会」が独立、これが現在にもつながっている。
モダンな建物、映画やドラマのロケにも
もう一つの名物、鰺の押寿しは13(大正2)年に発売された。相模湾で取れるアジに目をつけ、独自の合わせ酢でしめたアジを使ったもので、今も名物駅弁として人気を集めている。
社屋兼工場は31(昭和6)…
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