NHK「政治マガジン」は必須業務? 総務省の有識者会議で話題

滝沢文那 野城千穂
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 NHKのインターネット業務の位置づけを話し合う総務省の有識者会議が30日開かれ、政治取材の裏話などを盛り込んだ記事などを配信するNHKのウェブサイト「政治マガジン」が話題に上がった。会議で注目されたわけは。

 NHKのネット業務は現在、放送を補完する「任意業務」にとどまり、予算も年間約200億円の上限が設けられている。サービスとしては、受信契約者が利用できる地上波番組の同時・見逃し配信に加え、ニュースサイトや、音楽番組サイト、番組のPRサイトなど放送番組に関連する「補助的な情報」を届ける名目で様々なサービスを展開。こちらは「理解増進情報」と呼ばれ、誰もが無料で利用できる。

 政治マガジンもそんな「理解増進情報」の一つ。「政治記事も面白いんです!みんなで“使える”WEBマガジン」とうたい、週刊誌の中刷り広告風の目を引くレイアウトで記事を配置。メインの特集記事については「テレビだけでは伝えきれない政治の舞台裏や隠れたエピソードなどを、毎週掲載します」と宣言し、「政治とカネの問題って、メディアはどうやって調べているの? 取材手法を公開します!」など個性豊かな政治記事を配信している。

 そんな「政治マガジン」が、有識者会議「公共放送ワーキンググループ」(WG)の席上で取り上げられたのは、出席したNHKの根本拓也理事がネット業務の今後の方針を説明した際、理解増進情報のあり方についても言及したからだ。

 根本理事は、ネット業務が今後、任意業務から放送と同等の「必須業務」に格上げされた場合は、放送とネット業務の主従関係はなくなることから、理解増進情報のうち、「放送への誘引効果を高めるような(ネット)サービスにつきましては、今の形のまま残ることはないと考えている」と説明。「理解増進情報は必然的に再整理される」と言及した。

 これに反応したのが、京都大大学院の曽我部真裕教授(憲法・情報法)だった。NHKの考えに立つと、「政治マガジン」などは番組の「解説・補足」にあたることから、必須業務に含まれないのではないかとただしたのだ。

 NHKが展開する様々なウェブメディアの中でもとりわけ人気の高いサイトなだけに、その去就は気になるところ。根本理事は「理解増進情報のうち、解説補足のようなものは(本来業務に)含まれない」ことを認めたが、政治マガジンについては「サイトの中身として、解説・補足的なものもあれば、違う内容のものもあるので、一律に、『政治マガジン』がこれだというふうに断定はなかなか難しい」とも説明。サイトの存続に含みを持たせた。

 NHKのネット業務の位置づけを巡っては、昨秋からWGで議論が続けられており、早ければ夏にも取りまとめ案を作成する可能性があり、理解増進情報についても言及があるとみられる。(滝沢文那、野城千穂)

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    曽我部真裕
    (京都大学大学院法学研究科教授)
    2023年7月1日6時4分 投稿
    【視点】

    何が論点なのか明確でない記事なので補足します。現在のNHKは「放送」をミッションとしており、ネット業務は「放送」を補完するという位置づけで、「放送」番組の同時配信及び見逃し配信をするほか、「放送」番組を宣伝・補完・解説したりする「理解増進情

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