全漁連、原発処理水の海洋放出に「反対」決議 東電は夏に放出予定

足立優心
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 今夏にも始まる東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は22日、「反対であることは変わらない」とする特別決議を採択した。反対の立場を表明する特別決議は4年連続となった。

 決議は都内で開いた通常総会で採択した。午後には全漁連の坂本雅信会長が西村康稔経済産業相らと面会し、決議文を手渡しする。

 政府は放出の開始時期について「春から夏ごろ」としている。しかし、政府と東電は2015年に福島県漁連に「関係者の理解なしには、いかなる処分もしない」と文書で回答。これを理由に、福島の漁協などからは「(政府による)約束はどうなっているのか」などの反対の声が相次いでいる。

 決議では、「廃炉に向けた取り組みを否定するものではない」とした上で、「海洋放出に反対であることはいささかも変わるものではない」と明記。一方で、国が漁業者支援事業に500億円規模の基金を創設したことや、安全性に関する説明会などを開いて「信頼関係を積み重ねる対応を行ってきたこと」については「重く受け止める」とした。

 処理水をめぐっては、東電が放出に向けた海底トンネルなどの工事を月内にも完了させる見通し。また、現地を視察した国際原子力機関(IAEA)の調査団が近く安全性に関する包括的な報告書をまとめる予定で、岸田文雄首相はこれらを踏まえ、放出時期を最終判断する。(足立優心)

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