「女性DNAに虐げられた歴史」横須賀市長 「不用意な発言」と釈明

伊藤良渓 具志堅直 小林直子
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 神奈川県横須賀市の上地克明市長(69)が市議会の質疑のなかで男女共同参画をめぐって「女性のDNA、ミトコンドリアの中に常に虐げられた歴史がある」などと発言した。この発言について「女性蔑視だ」として撤回などを求める署名活動も始まり、上地市長は20日、朝日新聞の取材に「不用意な発言で誤解があったかもしれない」と釈明した。

 発言があったのは今月8日の市議会本会議。自民党市議の一般質問で、人口減少社会におけるまちづくりについて「女性に選ばれるまちになっているか」と問われて、答えた。

「怨念を浄化させなきゃいけない時代」

 上地市長は「女性のDNA、ミトコンドリアの中に常に虐げられた歴史があって。その怨念、無念さが今の社会を構成していると思っている」「だからこそ反動形成で男女共同参画社会という話が出ている」などと持論を展開した。

 その上で「女性が虐げられてきた歴史、あるいはその怨念みたいなものを浄化させなきゃいけない、昇華させなきゃいけない時代に来ている」などと主張した。

 また、市役所で女性がいない会議があることについて問われると、「私、結婚してからすべて女房が決定権を持ってきた」と話し、「私にとっては仕事でも何でも男女の区別はまったくない。だから女性の数をある程度(増やすなど)しなきゃいけないっていう意味が今でもよくわからない」と答えた。

発言の撤回求める署名活動も、市長「不用意な発言」

 こうした発言に対し、上地市長に撤回と謝罪などを求める署名活動が始まっている。呼びかけ人の一人で横須賀市出身の会社員女性(27)は「怨念や無念さを女性と結びつけた発言は差別にあたる。それを議場でしてしまう無自覚さにびっくりした」と話す。

 署名は20日までに240筆以上が集まった。女性らは今後、署名を市に提出する方針だ。「二度とこうしたことが起こらないよう、市には再発防止策を講じてほしい」

 上地市長は朝日新聞の取材に「不用意な発言で誤解があったかもしれない。私は女性に対する差別や、あらゆる差別をなくすため政治を志した。大変な思いをしてきた方々を代弁したいとの思いだ」と話した。署名活動については「(市民の行動は)尊重したい」と述べた。(伊藤良渓、具志堅直、小林直子

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    太田泉生
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長=人権)
    2023年6月21日9時41分 投稿
    【視点】

    急激な人口減少は、間違いなく横須賀市政の最重要課題だ。特に女性は、20代前半で大幅な転出超過となっている。人口が減るなかで「女性に選ばれるまちになっているか」という議会での質問は、最重要課題の核心を突いた質問といえる。その問いへの回答がこれ

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