「なんで撮ってんだ」殺気立つ被災現場 関東大震災の記録が映画に

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編集委員・北野隆一

 燃えさかる家並みに、山手線の線路にあふれる避難者たち。1世紀前の関東大震災の被災状況を記録した映像が残されている。現場をいち早く撮影したのは誰なのか。当時の撮影者を追ったドキュメンタリー映画が完成し、8月から公開される。

 1923(大正12)年9月1日の大震災の被災状況を記録した映画フィルムは、東京・京橋の国立映画アーカイブに二十数本保存されている。井上実監督(57)と「記録映画保存センター」の村山英世事務局長(78)は、古い映像や記録をもとに関係者に取材し、映画「キャメラを持った男たち―関東大震災を撮る―」(1時間21分)に仕上げた。

新聞社は壊滅、ラジオはまだない

 焦点を当てたカメラマンは3人いる。

 まず岩岡巽(たつみ)さん(…

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この記事を書いた人
北野隆一
東京社会部
専門・関心分野
北朝鮮拉致問題、人権・差別、ハンセン病、水俣病、皇室、現代史
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    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2023年6月13日16時52分 投稿
    【視点】

    取材者・記録者は、被害の当事者からすると「よそ者」で「物見遊山」で「不謹慎」なように思われがちです。現在の災害や戦争などの現場でもそうでしょう。ただ、一歩引いた視点に立っているからこそ、このように後世に残る映像も撮れるわけです。近年流行りの

    …続きを読む