杉田水脈・衆院議員が逆転敗訴 研究者への名誉毀損を認定 大阪高裁

山本逸生
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 自民党杉田水脈(みお)衆院議員から、国の科学研究費の使用について事実と異なる発言をされて名誉を傷つけられたとして、大阪大の牟田和恵名誉教授ら4人が計1100万円の損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。清水響裁判長は、訴えを退けた一審・京都地裁判決を変更し、杉田氏に対し、牟田氏に33万円を支払うよう命じた。ほかの3人の控訴は棄却した。

 高裁判決によると、牟田氏らは、性の平等に向けた国内の女性運動や従軍慰安婦問題の共同研究に取り組み、2014~17年度に科研費1755万円が支給された。杉田氏は18年4月、ジャーナリスト櫻井よしこ氏のインターネット番組に出演時、牟田氏が期間終了後に科研費を使用したとして「ずさんな経理」と述べた。

 清水裁判長はこの発言について「証拠はなく、真実とは認められない」と指摘。科研費の管理は研究者個人ではなく大学が行うもので、牟田氏の名誉を傷つける違法な発言だと認定した。

 一方、杉田氏が18年3~6月、ツイッターで「国益に反する研究」「反日活動」と書き込んだことなどについては、「研究への意見・論評の域を脱しておらず、社会的評価を下げるとはいえない」として違法性を認めなかった。

 判決後、牟田氏らが記者会見し、「研究費の不正使用を疑われることは、研究者生命に関わる。でたらめな中傷は許されない」と杉田氏を批判した。

 杉田氏の事務所は「大部分の主張が認められた。一部認められなかった点は今後精査する」とのコメントを出した。(山本逸生)

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