第1回離島に日本最大メガソーラー計画 進まぬ工事、約束された破格の収入
日本本土最西端の地からさらに西へ約40キロ。東シナ海に浮かぶ長崎県佐世保市の離島・宇久(うく)島に、日本最大のメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設する計画がある。島の約4分の1を占める桁外れの規模。発表から10年が過ぎた今も姿を現さず、実現を疑う声すらあるが、稼働すれば破格の売電収入が約束されている。
佐世保市から高速船で約2時間。空港もなく、船でしか渡れない人口約1800人の島の主力産業は、肉用牛を飼う畜産業と漁業。港近くの中心集落を離れると、放牧地や草原、原野が広がる。耕作放棄地のような荒れ地も目立つ。
この島で計画されているのは、総投資額2千億円にのぼる巨大プロジェクトだ。
パネルと送電設備などをあわせた事業面積は東京ドーム約150個分(約720ヘクタール)。出力は中型の火力発電所並みの48万キロワット。約17万世帯をまかなえる計算で、九州本土まで約60キロの海底ケーブルを敷き、電気はすべて九州電力に売る壮大な計画だ。
ところが、島を一周する県道を車で走ってみても、メガソーラーを思わせる設備はみあたらない。事業主体の九電工(本社・福岡市)社員で島に駐在する松木尚史さんの案内で、ようやくそれらしき設備を目にした。県道を外れ、軽トラック1台がやっと通れるほどの細いくねくね道を進んでいった先だった。
長崎県の離島で国内最大のメガソーラーが計画されている。だがそれは、破格の高値で電気を買いとる約束がなければなしえない事業だという。その歩みを出発点からたどると、日本の再エネ政策の問題点が見えてきた。
島の将来を考えたら
1ヘクタールほどの土地に…