「ネット書店の送料の実態、調査を」 消えゆく本屋支援、議連が提言

宮田裕介
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 各地で書店が姿を消すなか、国としてどんな支援ができるのか。議論を続けていた自民党の「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」(会長・塩谷立元文部科学相)が24日、政府への提言をまとめた。政府が6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に反映させることをめざす。

 書店の減少に危機感を抱いた業界が、議連に支援を要望。議連は昨年12月、中間報告をまとめ、議論してきた。

 中間報告では、具体案の一つとして、アマゾンなどのネット書店との競争環境の整備があがっていた。本は定価で販売することの根拠になる「再販制度」があるが、ネット書店では送料無料やポイント還元で実質的に値引きが行われているとし、一定の制限やルールを設けることを検討する、としていた。

 ただ、今回の提言では、そうした実態を把握するために調査するという内容にとどまった。調査した後に、ネット書店の対応などを議論するという。

 公共図書館との連携推進についても盛り込まれた。地元書店から優先的に本を仕入れるなど、書店と共存するために連携することや、ベストセラーや新刊本といった同一タイトルの本を過剰に図書館が持つことを原則禁止にするルールづくりなどだ。

 ブックフェアなど、書店への来訪を誘引するような取り組みを推進したり、地方自治体が書店を巻き込んで地方創生につながる取り組みをする際に、クーポンや地方創生交付金を活用したりすることなども提言している。フランスや韓国など、他の国での取り組みを参考にしたという。

 出版文化産業振興財団の調査によると、書店が一つもない「書店ゼロ」の市区町村は全国で26・2%に上る。調査は昨年9月時点で、大手取次会社を経由して販売契約している新刊書店を対象にしている。「独立系書店」などと呼ばれる大手取次を利用していない書店などは含まれていない。

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この記事を書いた人
宮田裕介
文化部|メディア担当
専門・関心分野
メディア、放送行政、NHK