江戸時代から牛を食べていた津山 名物の「干し肉」を缶入り駅弁に

礒部修作
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 古くから独自の牛肉文化がある岡山県津山市の観光協会が、名物料理の一つ「干し肉」を使った駅弁缶を発売した。パッケージにはJR津山駅近くにある「津山まなびの鉄道館」の扇形の機関車庫をデザインした。担当者は「牛肉と鉄道で津山の魅力を凝縮した特産品にしたい」と意気込んでいる。

 津山市は古くから農耕用の牛の流通拠点だった。表向きには牛肉を食べることがタブーとされていた江戸時代にも、「健康のために」と薬として食べられていたという。明治時代以降も独自の肉文化が育った。代表的な料理の干し肉は、牛のもも肉などに塩をもみ込み、乾燥させたものだ。

 13日に発売された「干し肉駅弁缶」は、玄米を使ったしょうゆ味の炊き込みごはんの上に、干し肉のスライスをトッピングした。内容量は160グラム。価格は1缶950円(税込み)。常温のまま缶をあけて食べてもいいが、お湯に5分間つけた後に食べるのもお薦めという。

 パッケージは、鉄道遺産の頂点とも言われる「鉄道記念物」に選ばれている、津山まなびの鉄道館の旧津山扇形機関車庫をデザインした。鉄道館には懐かしい蒸気機関車やディーゼル機関車が展示され、車両を方向転換させる転車台もあって鉄道ファンの人気を集めている。

 市観光協会の岸本祥吾さん(35)が昨年12月に開発を始め、駅弁缶になった理由を「津山市の牛肉料理を発信でき、お土産として持ち帰りやすく、保存できる期間も長いから」と言う。

 干し肉は津山市の人気の飲食店から仕入れ、東京で缶詰専門店を運営している会社も製造に携わった。干し肉は、かむごとに凝縮されたうまみが味わえる。そのおいしさを伝える味付けと、1缶で十分に満足できる量のバランスに苦労したという。

 販売場所は当面、津山城跡前の津山観光センター(津山市山下)と津山まなびの鉄道館(同市大谷)。JR岡山駅と津山駅の売店でも販売を予定しており、売れ行きを見て増産を検討するという。

 岸本さんは「干し肉駅弁缶を皮切りに、津山にしかない食肉文化を広くPRしていきたい」とも話している。(礒部修作)

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