香りに青春も職も奪われた 知らぬ間に加害者になる「悪意なき汚染」
あなたの使う柔軟剤、そのにおいが苦しい――。化学物質過敏症の患者が、頭痛やめまいといった日常生活への深刻な影響を訴えている。堺市堺区の市総合福祉会館で31日まで開かれているパネル展では、「香害(こうがい)」に苦しむ当事者たちの痛切な訴えが並んでいる。
「過敏症・香害・SDGs」と銘打った会場には約90枚のパネルを掲示。化学物質過敏症を解説するパネルにまじり、とりわけ印象に残るのは、全国の当事者が寄せた、洗剤や柔軟剤による香害を訴える手紙だ。
「どこへ行っても口がしびれ、頭が重く、体がしめつけられるように痛む。職場の香害で職を失った」(50代)
「周りのにおいに耐えきれず部活をやめた。授業にも出られない。青春や進路を奪われている」(高3)
「子どもが持ち帰るプリントにも移香(いこう)していて宿題を見てやれない。いつまで子どもと一緒に暮らせるかわからない」(30代)
「学校にいくとじゅうなんざいがくっついてきてこまっています」(8歳)
企画したのは、堺市の山口尚恵(ひさえ)さん(51)。2002年、自宅のリフォーム工事を機に化学物質過敏症になり、口内炎やじんましんなど慢性的な体調不良に悩まされるようになった。
親族から理解されず、友人とも疎遠に
建材に限らず、チラシのイン…
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- 【視点】
香害という言葉はきいたことがあったが、こんなに症状に苦しんでいる人がいるとは知らなかった。 私も香料の入ったものは苦手で、化粧品などもなるべく無香料を探しているが、本当に少ないし、ないことも多い。匂いなんて必要ないのに、顔も身体も髪も服も
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