ChatGPTは「植民地化されたネットの象徴」 若手起業家が警鐘
ほんの一握りの巨大IT企業が、ネット上の情報を我が物のように独占している――。
次世代のインターネットと呼ばれる「ウェブ3・0(スリー)」の先駆者で、マスク・ネットワークのスジ・エンCEO(最高経営責任者)(27)が東京都内で朝日新聞の取材に応じた。急速に普及するChatGPT(チャットGPT)など、AI(人工知能)の問題点を指摘し、エンさんが目指すインターネットの未来図を語った。
Suji・Yan
1996年、中国・上海生まれ。2017年にマスクネットワークを創業。フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアで、暗号化したメッセージの送信などができるウェブブラウザーの拡張機能を提供している。東京大学への留学経験があり、日本語も話せる。フリージャーナリストとして「インターネットと地政学」などを取材。
――チャットGPTの登場などで、AIへの注目が急速に高まっています。AIとはどう付き合っていくべきなのでしょうか?
私たちにとってAIは非常に魅力的で、重要なものです。社会に大きな変革をもたらすものだと考えています。
歴史的にみると、18世紀から始まった産業革命で、工業化が一気に進み、生産性が飛躍的に上がりました。大量のデータをもとに新たな成果物を生み出すAIは、現代における最新鋭の工場のようなものです。産業革命のような大きな変化が起きて、今後、生産効率が向上していくでしょう。
しかし、AIには大きな問題点もあります。
私自身、2014年に米イリノイ大学に留学し、AIについての研究をしました。自動運転に関する仕事もしました。AIを開発するためには、膨大なデータを学習させる必要があります。そのデータはどこから来るのか。それはグーグルやフェイスブックなどを日々利用している人々がネット上でやりとりする、個人情報を含むデータからです。
そして、その膨大なデータは、限られた巨大IT企業しか扱えません。実際にどのようなデータがAIなどに活用されているのか、私たちには知るすべがなく、データ収集や活用の過程はブラックボックス化しています。
これを私は巨大IT企業によるインターネット空間の「植民地化」と捉えています。話題となっているチャットGPTは、その植民地化の象徴とも言えるでしょう。支配者と奴隷の関係のように、搾取されているのは、私たちのデータです。
自由で開かれたインターネット空間
――データ保護のために、政府は規制に乗り出すべきでしょうか。
それは間違ったアプローチです。
データの保護は必要です。しかし、そのためにIT企業を統制できるような強力な権限を政府に与えていいのか。規制することで、もしかしたら企業の集めたデータを、政府が利用するようになるかもしれない。市民は結局、自らのデータをコントロールできないわけです。
――どうしたら私たちは自分たちの情報を守れますか?
デジタル空間に、市民による…
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- 【視点】
データという権力をひと握りの巨大IT企業が手中におさめ、それをまた一部の国家がコントロールしようとしたとき、市民社会は一体どうなっていくのか。想像力をかき立てられるインタビューです。 単純作業の自動化という観点からみれば、AIの進化は
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