能動的サイバー防御法案 「通信の秘密」尊重明記 与野党修正で合意
サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」を導入する法案をめぐり、自民党、立憲民主党、日本維新の会などの与野党は3日、憲法21条が保障する「通信の秘密」を尊重する条文を新たに盛り込むなどの修正を加えることで一致した。ACD法案は修正を経て4日の衆院内閣委員会で可決され、週明けに衆院を通過する見通しとなった。
修正案は立憲が提案し、自民、維新などが賛同し共同提出する方針を決めた。「通信の秘密」を含む国民の権利と自由を「不当に制限するようなことがあってはならない」と新たに明記する。政府の運用状況を監視する独立機関の活動状況に関する国会への報告事項を具体的に列挙するほか、法施行から3年後の見直し規定も付則に盛り込む。
ACD法案は、重要インフラなどへのサイバー攻撃を未然に防ぐため、ネット上の通信情報を政府が収集・分析することを可能とする。分析するのはIPアドレスや送受信日時などに限られ、メールの本文などは対象としない。
政府は国会審議で「通信の秘密に対する制約は公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度にとどまり、憲法違反となるものではない」(平将明・サイバー安全保障担当相)とし、通信の秘密を尊重する条文は必要ないと説明してきた。一方、立憲は「国民の権利と自由を不当に害することがないようにする一般条項は、慎重な運用につながる」(岡田克也・前幹事長)として条文明記を求めていた。
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