第9回核なき世界へ、たとえ遠回りでも 広島サミット、日本の研究者の期待

 被爆地広島で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、「核なき世界」へ向けて何を発信すべきなのでしょうか。核兵器のない世界に向けた道筋を議論する「国際賢人会議」の委員も務める秋山信将・一橋大教授に聞きました。

 ――G7サミットが広島で開かれることは、「核なき世界」へ向けてどのような意義がありますか。

 2022年のロシアによるウクライナ侵攻は、安全保障において核兵器の存在が極めて大きいことを改めて認識させました。核保有国が非核保有国に核の脅しをちらつかせながら国際法に反して隣国を侵略する。日本からすれば、東アジアにも同じような構図があるように見えます。そんな危機意識が高まる中で「核軍縮を」という議論はなかなか幅広く支援や支持を獲得しにくい。

 それにもかかわらず、「核の使用は許容できない、核なき世界を目指す」と人類が向かう方向性を広島から発信するのは大事なことです。

核なき世界へ、遠回りで遅い歩みでも

 ――核なき世界は遠いようにも感じます。

 直線的に核なき世界に向かっていくことはおそらくない。大国間の緊張が高まり、地域の安全保障環境が各地で悪化するなかで、それでも核なき世界に着実に向かっているというのは言いにくい。

 であれば、核兵器が使われな…

この記事は有料記事です。残り2281文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

核といのちを考える

核といのちを考える

被爆者はいま、核兵器と人類の関係は。インタビューやコラムで問い直します。[もっと見る]