建物の中を路面電車が走る「長崎西洋館」 33年の歴史に幕

三沢敦
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 異国情緒あふれる外観と建物の中を路面電車が走る珍しい構造で市民に親しまれた複合商業施設「長崎西洋館」(長崎市川口町)が31日に閉館し、33年の歴史に幕を閉じた。西洋館によると、土地や建物については「売却も含めて検討中」という。

 長崎電気軌道のグループ会社が運営する地上3階地下2階のビルで、1990年11月に開業。飲食店や雑貨店などがテナントとして入居し、一時期は年間200万人が来館した。

 近年は周辺に大型商業施設が相次いで開業したことや、新型コロナウイルスの影響も重なり、2022年度は62万7千人まで落ち込んだ。撤退するテナントも相次ぎ、現在は29区画中9店舗が営業していた。

 館内はエキゾチックな装飾が随所に施され、屋上には噴水のある「憩いの広場」も。長崎電気軌道の資料などを展示する長崎路面電車資料館もあり、最終日のこの日は、鉄道ファンが次々と訪れ、名残を惜しんでいた。(三沢敦)

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