第1回350万円で「愛してくれる」ホスト パパ活、中絶…少女が探す幸せ

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伊藤未来 西岡矩毅
【予告動画】警固界隈に集まる居場所のない若者たちのリアルに迫った
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 福岡市の警固(けご)公園で出会った福岡県内在住の20代前半の女性が、初めてホストクラブに行ったのは昨春だった。

 インスタグラムで応援していた売れないシンガーソングライターがホストになったからだ。「最大限楽しませたい」と語る彼の動画をいまも宝物のようにスマホに保存している。1回の支払いが数千円で済む日もあれば、「担当」(自分が推しているホスト)の誕生日に350万円のシャンパンタワーを作ったこともある。

 ホストや付き合う相手は、性格より、顔が「超絶どタイプ」かどうか。自分自身は小学校時代、男子に鼻をからかわれてから、顔も性格もスタイルも自信が持てなくなった。その反動で顔にこだわるのかもしれない。

 中学では男子からいじめに遭った。頭痛やだるさで起き上がることが難しい障害と診断された。

 そんな中学生の時に出会ったのもホストだった。家出して向かった大阪の路上で夜、声をかけられた。家出中はそのホスト宅で暮らした。

 今も仲が良いという約10歳上の彼はいつも性行為の際、避妊具をつける。「何でも親みたいに心配してくれる。だから『保護者ホスト』と呼んでる。唯一信頼してるかも」

福岡市の警固公園に集まる「警固界隈」と呼ばれる若者たちの日常に迫ります。少年少女の年齢はいずれも取材当時。

 ホスト代や生活費は自分で稼いできた。中学時代、大阪での「パパ活」が始まりだ。ツイッター(現X)で「#大阪 #パパ活募集中」「#パパ活初心者」と入れると、すぐにダイレクトメッセージが届いた。カフェでお茶を飲んで1万円、ご飯を食べて1万5千円。交通費は別に2千円ぐらいもらった。そうして稼いだ20万円で、中学時代に鼻と、まぶたを二重にする整形をした。

 福岡に戻った高校生のころから、パパ活で性行為もありにした。1回1万5千円から3万円の収入になった。バイト感覚だった。お金は趣味の旅行やブランドもののカバン、化粧品に使った。

 高校を卒業して、両親に内緒でソープランドとデリバリーヘルスの風俗店で働き始めた。性行為を自ら提案することもある。「だから、最初に相手と入るシャワーの時、紳士な人か、めっちゃ考えてる」。性行為をした人数はもう覚えていない。「誰とやってももう抵抗を感じない。心がすさんでもうた」

 避妊具をつけたがらない客やホストもいる。それで妊娠は2回経験した。1回目は「流産パンチ。自分でグーでおなかを殴った」。2回目は中絶の手術をした。

習い事の練習欠かさず今は先生 でも「幸せはホストクラブだけ」

 月70万円を稼ぐ女性は、ホストから「今月いくら使える?」と聞かれる時もある。財布扱いされたと感じ、最悪の気分になる。

 そんな時に手を伸ばすのは…

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この記事を書いた人
伊藤未来
千葉総局|千葉県政担当
専門・関心分野
社会福祉、医療、教育
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    藤田直哉
    (批評家・日本映画大学准教授)
    2025年4月9日9時57分 投稿
    【視点】

     二〇代前半から半ばの頃、歌舞伎町の、「トー横」から歩いてすぐの漫画喫茶で店員のアルバイトをしていたことがあります。当時はまだ「トー横」現象は起こっておりませんでしたが、それでも居場所のない若い男女がたくさんいたことを覚えています。家出をし

    …続きを読む