埼玉の三芳町、女性議員が過半数に「心強い」 32市町で19人増

これでいいのか?ニッポンの議会

仁村秀一 永沼仁 西田有里
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 統一地方選後半戦が23日に終わり、改選した埼玉県内の32市町議会で計160人の女性が議員になる。定数は前回から8人減り627人だったが、女性は19人増え、全体に占める割合は25・5%になった。これまでにはなかった過半数が女性の議会も誕生した。

 定数15の三芳町では、現職の6人に加え、2人の新顔の女性が当選した。女性議員が8人になり、県内で唯一女性の割合が50%を超えた。これまでは、2020年に選挙があった新座市の46・2%が最高だった。

 初当選した牛丸藍子氏(40)は「先に活躍している女性議員が多いので心強い」と話す。中学3年の娘がおり、以前から町内の学校の運営で気になることがあった。仕事の合間をぬって議会を傍聴し、女性議員に悩みを相談したこともある。

 もっと子育てしやすい町にしたいと思っていたところ、現職4人が町議をやめると知り、「やりたい人が少ないなら自分がやろう」と立候補を決意したという。18歳までの医療費の無料化を実現させたいという。

 同じく初当選の長野真寿美氏(62)は町の教育委員を14年つとめてきた。2人の息子はもう社会人で、孫もいる。60歳を過ぎ、引退しようと考えたが、「もったいない」と周囲に町議選を勧められた。

 三芳町では、小学校や子育て支援センター、保健センターなどを1カ所に集めた拠点を作っている。親たちの声を議会に届けることで、「子育ての役に立つ施設にしたい」という。

 吉見町(定数14)でも、6人の女性が立候補し、女性議員が3人から5人に増えた。

 その一人、3児の母の新顔伊藤えりか氏(38)=無所属=は「夢のようです」と喜ぶ。子育て中の母親を支援するNPOを隣市で立ちあげ、町内では障害者のグループホームを開設している。

 事務所の看板は手作り。ママ友たちの応援を頼りに、「子育てまっただ中世代」をアピールした。「昔ながらのネットワークが強く、投票率も低い。100票取れるかどうかと思っていたので感激しました。町内に福祉エリアをつくっていきたい」

     ◇

 今回の投開票で、女性議員がゼロか1人の「ゼロワン議会」は県内全体で一つ減り、6議会になった。3議会が改選で、羽生市(定数14)と美里町(同10)が女性1人から2人になった。長瀞町(同9)は1人のままで、滑川町(同14)が新たに加わった。

 「女性は私だけ。2、3人分の票を取りたかったのですが、票を伸ばせず残念でした」。改選前に女性が2人いた滑川町は、現職の1人が立候補せず「ゼロワン」になった。唯一の女性候補だった上野葉月氏(47)=無所属=は3選したが、悔しそうだった。

 2人の子どもを育てながら保育園を運営する。選挙カーで名前の連呼はせず、商業施設の前などで「教育・子育て」政策を訴えたが、前回よりも得票を減らした。「議会で積極的に質問をしてきたが、あまり評価されなかったようです」

 上野さん以外の当選者は60、70代の男性になった。「地域をこまめに回る時間の取れる『第二の人生』の人ばかりではなく、現役世代の多様性がほしいのですが……」(仁村秀一、永沼仁、西田有里)

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