スーダンは「長期内戦になる」 民政めざした国でなぜ、専門家に聞く
アフリカ北東部のスーダンで、国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」が激しい戦闘状態に陥りました。首都ハルツームを含む各地で銃撃戦や砲撃戦が行われており、日本政府は約60人いる在留邦人を退避させるため、自衛隊機の派遣に向けた準備を始めました。民政移管をめざしていたはずの国で、なぜ戦闘は起きたのでしょうか。今後、どうなるのでしょうか。スーダン出身で東洋大学国際共生社会研究センター客員研究員のモハメド・アブディンさんは「長期の内戦になる」と言います。
――国軍とRSFはなぜ戦闘を始めたのでしょうか。
直接の引き金は、北部メロウェの空軍基地に隣接する土地をRSFが購入し、基地を造ろうとしたことです。スーダン空軍がエジプト空軍と共同演習を行ったことがある空港で、エジプトの将校もいます。RSFの土地購入に軍が反発する中、4月にRSFがいきなり100台ほどのピックアップトラックを含む部隊で基地を包囲し、さらに部隊を追加しました。
これに対して15日の朝、首都ハルツーム周辺にあるRSFの基地を軍側が包囲し、そこから衝突が始まりました。
――(17日時点の)戦況はどうですか。
(ハルツーム周辺のRSF基地については)普通は軍に包囲されたら負けるでしょうが、互角に戦っていますから、このシナリオをRSF側が元々想定していたのではないかと思います。一方、(RSFの基盤の)西部ダルフール地方では、かなり国軍が劣勢を強いられており、主要な軍基地がRSFによって次々と奪還されました。
軍は前のバシル政権時代に、クーデターを起こせないように無力化されてきました。優秀な将校は早い段階で退職に追い込まれたり、トレーニングも受けていなかったりしました。軍人への給料の支払いも遅れています。
RSFは軍の天敵
――RSFの前身は、西部ダルフール地方で2003年から始まった紛争で、黒人系の反政府勢力に対抗したアラブ系の民兵組織「ジャンジャウィード」だと聞きました。
ジャンジャウィードと呼ばれ…
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