米国の美術収集家ジョー・プライスさん死去 若冲らの再評価に貢献

 伊藤若冲(じゃくちゅう)の作品をはじめ、江戸絵画を収集し、一大コレクションを築いた米国の美術収集家、ジョー・プライスさんが現地時間の13日、老衰のため米ロサンゼルス郊外の自宅で死去した。93歳だった。若冲の再評価で、日本の美術界に大きな影響を与えた。

 1929年、オクラホマ州出身。父が経営する石油パイプライン会社に勤務していた24歳の時、旅先のニューヨークの古美術店で偶然目にした一幅の掛け軸に魅せられ、江戸時代の日本絵画の収集を始めた。掛け軸をはじめ収集品の多くは後に、若冲の作品とわかった。

 63年に初来日。66年に結婚した妻の悦子さんとともに「プライス・コレクション」として知られる一大コレクションを築いた。「自然に対する敬意と愛情が感じられること」を基準に独自の感性で収集した若冲や曽我蕭白(しょうはく)、長沢芦雪(ろせつ)らの作品は、現在、国内外で高い人気を集めている。

 2011年の東日本大震災後には、被災した宮城、岩手、福島3県で自らのコレクションによる展覧会を開いた。近年は高齢を理由に収集品の一部を日本の美術館に引き継ぐことを望み、19年に出光美術館(東京)が約190件を一括購入していた。

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