アメリカで生き延びる町の本屋さん ネット書店・電子書籍の荒波耐え
日本では近年、書店の数が急速に減ってきています。背景には、人口の減少に加え、ネット書店や電子書籍の普及で、本屋さんに出かけて実際に本を手にとって購入する機会が少なくなったことがあります。しかし、ネット書店・電子書籍の本場アメリカでは、町の本屋さんのリバイバルが起きているといいます。米国の出版事情に詳しい文芸エージェントの大原ケイさんに、何が起きているのかを聞きました。
――米国人の読書習慣は近年、大きく変わったのですか。
出版業の売り上げは大きく変化していません。リーマン・ショック(2008年)の後に景気が後退して売れ行きが落ちたり、コロナ禍で「おうち時間」が増えて売り上げが伸び、コロナが収束するとまた少し売り上げが鈍ったり、という動きはありますが、全体的にみると、市場規模は維持されています。
米国では、1970年代に大型ショッピングモールが各地にできてチェーン書店がその中に入り、町の本屋さんが最初の挑戦を受けました。その後、バーンズ&ノーブル(B&N)やボーダーズに代表される全米展開の「メガストア」が登場します。2000年前後にアマゾンが台頭し、10年までにはキンドルが市場に投入されました。
普通の本屋さんは、この流れの中で確かに数が減ったものの底を打ち、全米書店協会(ABA)によると、同協会会員の店舗数は09年の1651から18年は2470に増えました。コロナ禍でまた減ったようですが、トレンドとしては微増が続いています。この間、ネット書店の躍進で、ショッピングモールの中の書店やメガストアははっきりと衰退しました。これが「独立系書店のリバイバル」として注目されました。
「売れ筋を追う」から「売れ筋をつくる」に
――何が独立系書店を生き残らせたのでしょうか。
「売れ筋」を追わず、「売れ…
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