上下分離で鉄道維持か、バス・タクシー転換か 津軽線、JRが方針案

土肥修一
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 大雨被害を受け不通が続くJR津軽線の蟹田―三厩間について、沿線の自治体とJR東日本が今後のあり方を協議する検討会議が28日、青森県外ケ浜町役場で開かれた。JR東は、施設の管理を自治体に移す「上下分離方式」で鉄道を維持するか、バスとタクシーに転換するか、二つの方向性で検討する方針案を示した。

 この日の会議で、JR東は上下分離方式について、昨年復旧した福島県のJR只見線で導入した実績があることを踏まえ、津軽線にも適していると説明した。

 そのうえで、同区間の線路の保守や運行には年間6億円かかり、「ランニングコストを当社単独で負担するのは厳しい」とし、地元自治体に負担を求めた。

 この方式をとると、線路や信号といった施設の維持・管理を担う自治体側が4億円、車両の維持・管理をし、人件費を払うJR側が2億円を負担することになるという。

 また、鉄道以外による復旧方法について、バスは増便や停留所の増設に対応しやすいこと、乗り合いタクシーはドアツードアで目的地まで移動できることなどを挙げ、適していると説明した。

 不通区間で現在、運行されている代行バスと乗り合いタクシーの運行費は、それぞれ年7千万円、年4千万円とした。

 BRT(バス高速輸送システム)は、専用道の整備に多額の費用がかかるほか、冬季の除雪経費がかかるとして適さないとした。

 JR東はこれらのことから、今後の検討会議で、上下分離方式で鉄道を維持するか、バスと乗り合いタクシーを組み合わせた公共交通に転換するか二つの方向性で、具体的な費用負担などを比較検討するとした方針案を示した。

 これに対し、外ケ浜、今別両町の担当者は「両町の負担割合や県の支援がどの程度になるか示してほしい」と訴えた。

 県の担当者も「(方向性を)二つに絞り込むのは早い。上下分離以外に鉄道を維持する方策はないのかなど、住民が納得できるよう丁寧な説明をしてほしい」と求めた。

 会議終了後、JR東日本盛岡支社の松野文一・地域連携推進室長は、バスと乗り合いタクシーに転換した場合も、地元自治体に費用負担を求める考えを示した。次回以降の検討会議については、「様々な意見をもらったので、どのように進めるかは持ち帰って検討したい」と述べるにとどめた。(土肥修一)

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