東芝、土壇場の10円上乗せが精いっぱい 買収受け入れの舞台裏
杉山歩 土居新平
経営の混乱が8年に及ぶ東芝。経営再建策の決着は綱渡りの作業だった。
「月末までに決まらないと、この話は流れる」
今月初め、東芝の買収に手を挙げた国内投資ファンド、日本産業パートナーズ(JIP)陣営の関係者は破談の可能性を口にした。
買収資金の半分にあたる計1兆円超は三井住友銀行ら銀行団の融資に頼るが、融資の「確約書」の期限が月末に迫っていた。期限を過ぎればリスクの再評価が必要になり、銀行が出せる額も変わりかねない。計画の前提が崩れる一歩手前の23日、東芝は買収の受け入れを発表した。
判断の焦点は買収価格だった。JIPの提案額は総額約2兆円(1株4620円)と、東芝側の当初の希望を大きく下回った。苦渋の決断を下したのは、東芝の社外取締役7人でつくる「特別委員会」だ。残った不満が、経営陣としてJIPが7月に行う予定の株式公開買い付け(TOB)に賛同するものの、株主に対する「推奨」はまだしない、という分かりにくい発表文につながった。
幻の「プランB」も
東芝が自らの買収提案を公募…
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