リニア山梨工区調査、静岡の水資源に「影響ない」 JR東海社長

内藤尚志
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 JR東海の金子慎社長は9日の定例記者会見で、リニア中央新幹線の山梨工区で進めるボーリング調査に静岡県が反発していることについて、「静岡県内の水資源には影響がないと考えている」と主張した。悪影響の懸念がぬぐえないとして川勝平太静岡県知事は自粛を求めているが、受け入れずに計画どおり進める構えだ。

 JR東海が進める高速長尺先進ボーリングでは、トンネルの工事に先行して12~20センチほどの穴をあけて地質や湧水(ゆうすい)の状態を確認する。JR東海は先月21日、静岡県との県境から約800メートルの山梨県内の地点で始めた。まずは県境まで約100メートルを目安とする地点まで進める。

 川勝知事は「いま開始する差しせまった理由はなく、極めて遺憾」などと批判してきた。しかし金子社長は「(水資源などの)懸念解消につながる情報も得られる。実施する意味はたいへん大きい」と述べ、理解を求めた。静岡県までは距離があるため、同県内の水資源への影響は考えにくいと説明。県境をこえて進むことはせず、改めて静岡県側と協議するとした。

 リニアについては、静岡工区での着工を静岡県が許可せず、2027年を予定していた東京・品川―名古屋間の開業のめどが立たなくなっている。金子社長は「(静岡工区で)いま始めても遅れを取り戻せない」と述べたが、どれだけ開業が遅れるかは示さなかった。ボーリングをめぐって静岡県との対立が深まれば、着工がさらに不透明になる。内藤尚志

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