電通や博報堂など6社告発 組織委元次長ら7人も 五輪談合で公取委

米田優人
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 東京五輪パラリンピックの運営業務をめぐる談合事件で、公正取引委員会は28日午前、広告最大手「電通グループ」や業界2位「博報堂」など法人6社と、各社の担当幹部ら6人、大会組織委員会の元次長の計7人を、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に刑事告発し、発表した。

 告発を受けて、東京地検特捜部は同日午後に、同法違反の罪で起訴する見通し。公取委による刑事告発は、2020年12月の医薬品納入をめぐる入札談合事件以来、約2年2カ月ぶり。

 公取委は発注側の組織委と受注側の広告業界などが一体となって受注調整したとみており、奥村豪・第二特別審査長はこの日の会見で「国民生活に広範な影響を及ぼす悪質かつ重大な事案だ」と述べた。

 告発した法人は、電通、博報堂、広告大手「東急エージェンシー」、イベント制作会社の「セレスポ」と「セイムトゥー」、番組制作会社「フジクリエイティブコーポレーション(FCC)」の計6社。

 個人では、特捜部が今月8日に同容疑で逮捕した組織委大会運営局の元次長・森泰夫(56)、電通の元スポーツ局長補・逸見晃治(55)、セレスポ専務の鎌田義次(59)、FCC専務の藤野昌彦(63)の4容疑者を告発。在宅で捜査してきた、博報堂DYメディアパートナーズの横溝健一郎元スポーツビジネス局長(55)、東急エージェンシーの安田光夫執行役員(60)、セイムトゥーの海野雅生社長(56)の3人も告発した。

 公取委によると、森元次長と電通など6社の幹部らは18年2~7月、組織委が競争入札や随意契約で競技会場ごとに発注するテスト大会や本大会の運営業務について、受注予定業者をあらかじめ決めるなどして競争を制限した疑いが持たれている。契約金の総額は400億円規模だった。

 業務を受注した9社のうち、広告3位「ADK」も談合への関与を認定されたが、課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づいて違反行為を最初に公取委に申告したため告発を免れた。

 広告大手「大広」と電通のグループ企業「電通ライブ」の2社は、談合に関与しなかったとして告発対象から外れた。

 同罪の法人に対する罰則は5億円以下の罰金。個人は5年以下の懲役か500万円以下の罰金となる。

 関係者によると、森元次長と電通が中心となり、各社の得意分野や受注希望を聞き取ったうえで、受注候補をまとめた一覧表を作成。大半の入札には1社しか参加せず、落札業者は表とほぼ一致したという。

 公取委は昨年11月、告発を前提とした「犯則調査権」に基づき、森元次長の自宅や電通本社などを特捜部と合同で捜索していた。(米田優人)

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