明治の貨車を往時の姿に 復元費用を募る いなべの貨物鉄道博物館

臼井昭仁
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 貨物鉄道博物館三重県いなべ市)が所蔵する123年前に造られた鉄製の貨車。国内に現存する鉄道貨車としては最古級とされる。台車を備えた往時の姿へ戻す改修をするため、博物館はクラウドファンディング(CF)で資金を募っている。

 博物館の常務理事で設計士の南野哲志さん(52)によると、この貨車は1900(明治33)年に旧関西鉄道四日市工場で造られ、茨城県内の鉄道で走っていた。50年代に引退。台車は外され、茨城県龍ケ崎市内の関東鉄道の駅構内で倉庫として使われていた。

 2017年に貨物鉄道博物館が譲り受けた。屋外で展示しているため、施設の閉館時でも間近で見られる。鉄製で、長さは5・5メートル、幅2・4メートル、高さ2メートル。

 NPOが運営する博物館は2003年にオープン。古い機関車や貨車を計19両展示している。今年20周年の節目を迎えることから、記念事業として、この貨車に車輪などがある台車を復元し、取り付ける改修工事に踏み切ることを決めた。費用の一部、300万円をCFで賄う。

 残されていた図面や写真をもとに南野さんが設計図を作り、工事に取りかかる。11月の記念式典でお披露目する予定だ。

 博物館には、ほかにも120年以上前の1890年代に英国で製造、輸入された貨物タンクもある。石川県七尾市にあったのを2020年に引き取った。国内最古級の貨物タンクとされるが、台車がないため、その復元も計画している。

 南野さんは「日本で最古級という貨車が二つもあるので話題になり、見物に来る人も多い。現役で走っていたころの姿にしてほしいという声に、ぜひ応えたい」と話し、CFへの協力を呼びかけている。

 CFはREADYFOR(レディーフォー)。目標額は300万円で、3月31日まで。金額別にキーホルダーや模型といった返礼品を用意している。「レディーフォー」「貨物鉄道博物館」でネット検索を。(臼井昭仁)

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