あの丘を探して 大震災翌日の街の惨状、写真はどこから撮ったのか

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西堀岳路
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 東日本大震災の翌朝、福島県いわき市のいわき支局員だった私は、大きな被害を受けた同市の久之浜地区で、小さな「丘」の上から街の全景を撮影した。3年後に異動でいわきを去り、昨年、再び赴任した。区画整理され大きく変わった久之浜を同じ場所から撮影しようとしたのだが、あの丘が見当たらない。私はあの時、どこから写真を撮ったのか。

 2011年3月12日朝、密集していた木造の水産加工場や住宅などは前日の津波で破壊され、その後の火災で焼け野原になっていた。まだ煙があちこちから上がり、小さな炎も見えた。地元の消防団員たちが、倒壊した家を回って生存者を捜している。道路わきには遺体が並べられていて、かけてある毛布の端から見えた小さな足はピンク色の靴下をはいていた。

 惨状の全景を撮影できるような場所を探すと、煙の向こうにぽつんとほこら(稲荷神社)がたつ高さ1・5メートルほどの小さな丘があり、そこから撮った。後で聞くと石垣に囲まれた高台だったが、津波で石が流失して土がむき出しになり、丘に見えたのだ。

 その後異動するまで、数カ月…

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