みんなで貧しくなりますか? 「少子化対策なぜ失敗」著者が迫る覚悟

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聞き手=西村圭史
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 岸田文雄首相は「次元の異なる少子化対策」として、児童手当を中心とした経済的支援、幼保サービスなどの拡充、育児休業制度や働き方改革の3本柱を掲げて、議論を進めています。本当にそれだけで少子化対策になるのでしょうか。政権の掲げる政策に足りない視点はないのでしょうか。「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」の著書がある山田昌弘・中央大教授(家族社会学)に聞きました。

やまだ・まさひろ 1957年生まれ。親と同居する未婚者「パラサイト・シングル」や、結婚相手を求めて活動する「婚活」という言葉を生み出した。著書に「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか? 結婚・出産が回避される本当の原因」「パラサイト・シングルの時代」「希望格差社会」などがある。

なぜ少子化を克服できないのか

――少子化対策は、首相の3本柱で足りていますか。

 少なくとも、高等教育の支援、結婚支援がないですね。様々な理由で結婚できなかったり、子どもを産むことを控えたりする人が増えている。「子どもを産んだらお金を出す」程度で回復すると考えるのは甘いですね。

 将来子どもにかかり続けるお金への支援が重要です。子育てにかかる最大のお金は大学や専門学校の費用です。高等教育が無料なら、2人目、3人目を産む人は増えるでしょう。平均年収ぐらいの家庭では、多子世帯になると大学費用負担ができないと考えて産み控える人が多いわけですから。

 東京都が子ども1人に5千円給付すると発表したとき、テレビの街頭インタビューで「学資保険に回します」との回答がありました。多くの人は、今すぐ子どもの食費が足りないから子どもを産まないわけじゃない。児童手当の給付だけでなく、高等教育の負担を軽減すれば効果があるでしょう。

――歴代政権も少子化対策をしてきましたが、少子化を克服できていません。

 理由のひとつは、本気でお金…

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