1904年製のSLを動態展示へ 2025年秋から名古屋市科学館で

山下寛久
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 【愛知】名古屋市は、市科学館(中区)の蒸気機関車(SL)について、2025年秋ごろに敷地内で動態展示を始める方針を明らかにした。1日数回、圧縮空気を使って車輪を動かすほか、AR(拡張現実)を活用して蒸気機関車の仕組みが分かる映像も上映する予定だという。

 市教育委員会が26日、市議会に計画案を示した。来館者が科学技術や産業の歴史を学べるよう、敷地南側にプラットホームや大型画面を備えたスペースをつくり、旧型客車なども並べる。事業費は約9億5千万円で、維持管理経費は10年間で計約3億円を見込む。

 SLは独ハノーファー社が1904年に製造した「B6形」。68年に同館が譲り受け、静態展示してきた。

 B6形を巡って河村たかし市長は長年、あおなみ線名古屋城周辺などまちなかでの運行を公約に掲げてきた。市教委は科学館敷地内や周辺で走行展示する案を示したが、市議会の批判で20年に白紙に。昨年、蒸気でなく圧縮空気を使って動態展示する方針を決めた。

 B6形は現在、富山県の倉庫に保管されており、今後は修復作業をする。市教委は「修復は車輪を回す展示のため」と説明しており、まちなかで運行させるためではないとする。

 河村氏は取材に、「もったいない。世界中から楽しみに来るのに」と話し、まちなか運行にこだわる考えを強調した。河村氏の任期は25年春までで、動態展示は任期終了後になりそうだ。河村氏は「(任期はあるので)しょうがない。ここまでようきた」とも述べた。

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