「ボーリング見合わせを」 リニア山梨工区、静岡県がJR東海に文書

内藤尚志 床並浩一
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 リニア中央新幹線の山梨工区で静岡県境に向かって計画されているボーリングについて、静岡県は21日、JR東海に実施を見合わせるよう求める文書を送った。JRは県側の求めに明確に応じる姿勢を示しておらず、県境付近まで進める構えも見せている。

 トンネル掘削工事に先行して行われる「高速長尺先進ボーリング」をめぐっては、事業者のJRは地質や地下水の状況を確認する「調査」と強調するが、県は湧水(ゆうすい)の一部が県外に流出するリスクがあるとして、「工事の一環だ」と反発。有識者でつくる県専門部会も計画に合わせて県外流出対策の提示を求めている。

 県は21日付文書で「専門部会委員と県の意見だ」として「県外流出のリスクと回避策が示されないなど重要な課題が残る」と指摘。「地域の不安や懸念が払拭(ふっしょく)されるまで、現行計画のままで実施しないことを強く求める」と警告した。監督官庁の国土交通省にもJRを強く指導するよう求める文書を送った。

 一方、JRの金子慎社長は21日の定例記者会見で、「重要な調査だ。必要性について説明していく」と改めて強調したうえで、「来年1月から準備に入り、早ければ、4月ごろに県境付近に到達できるのではないか」と言及するなど実施に強い意欲を示した。

 実施に伴うリスクについて「大井川の水資源利用に影響を与える可能性は極めて小さいと考えている」と説明。「湧水は少し発生するかもしれないが、だから調査をやめていいのかというのが私たちの考えだ」とした。

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