大井川本線が一部再開 3カ月ぶり、きかんしゃトーマス号も復活

黒田壮吉
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 大井川鉄道静岡県島田市)は16日、台風15号による被害で全線運休していた大井川本線の一部区間(金谷―家山間)の運行を約3カ月ぶりに再開した。蒸気機関車(SL)「きかんしゃトーマス号」も復活。沿線住民からも喜びの声が上がった。

 同日午前10時過ぎ、新金谷駅にトーマス号が入ってくると、見学していた人々から歓声が上がった。乗客の親子連れらはホーム内で記念撮影をした後、続々と客車に乗り込んだ。

 家族で名古屋市から来たという男性(36)は「災害を乗り越えて帰ってきてくれてうれしい。この日を待っていた」。4歳の長男は「トーマスに乗るのが楽しみ」と笑顔だった。

 今年9月の台風15号の影響で、大井川鉄道は土砂の流入や倒木などにより沿線で計46カ所の被害があり、9月24日から全線で運休した。山間部を走る井川線は10月下旬に再開したが、大井川本線は島田市福用にある採石場付近の延長約80メートル、幅約40メートルにわたった土砂崩れなどで復旧作業が難航していた。

 この日は、長期修繕中だったSL「かわね路号」も約13カ月ぶりに運転を再開した。同社広報の山本豊福さんは「まだ全線復旧の見通しは立たないが、半分が元の形に戻りほっとしている。多くのお客さんの笑顔を見ることができ、グッときた」と話した。

 トーマス号は来年1月9日までの週末を中心に、新金谷―家山間を往復遊覧運転(家山駅での乗降不可)で、1日2便走る。かわね路号は同区間を1日1往復する予定だ。

 沿線の駅では地元の住民が久しぶりに運行したSLを歓迎する姿もあった。

 合格駅では、駅の美化活動などをしている地元の団体「チームおもしろ五和(ごか)駅」のメンバーや近くの保育園児ら約40人が集まり、SLに旗や手を振って見送った。「益長(えきちょう)」を名乗る団体のリーダー・渡辺琢史(たくし)さん(76)は「再開は本当にうれしい。なくてはならない存在だと改めて思った」と話した。

 現・終点の家山駅では、観光ボランティア「川根おもてなし人クラブ」のメンバーら約30人が「頑張れ大鉄」と書かれたうちわやのぼりを持って、SLを出迎えた。森下文子会長は「汽笛を聞くと、元気をもらえる。家山から先の区間も早く復旧してほしい」と語った。

 大井川本線の残り区間(家山―千頭間)は被害の全容がわからず、復旧のめどはたっていない。同区間では引き続き、代行バスを走らせる。同社は「沿線の自治体や県などと連携しながら、復旧を進めていきたい」としている。

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